本有る処に人有りき、人有る処に“森人”有りき…… ――くおんの森(1)
現在は、講談社から刊行されている隔月刊の雑誌「good!アフタヌーン」でも「水面座高校文化祭」の連載を持っている釣巻先生ですが、初の連載作品は本書となります。
その繊細なタッチと、世界を描こうとする想いがそのまま線になったかのような背景画の描き込み――さすが、若干19歳でアフタヌーン四季賞に佳作入選を果たしただけのことはあるなぁ、と感心させられる若き実力派の読み応えがあるコミックスです。
さて、気になる内容について触れていきましょう!
物語は、主人公の魚住遊紙(うおずみ・ゆうし)が、両親とともに亡くなった祖父の家に引っ越してくるところから始まります。
大の本好きである遊紙は、引越しの片付けもそっちのけで祖父の書庫にこもります。そこで、たまたま祖父日記を見つけることになります。
その日記に記されていた学校の名前は、これから遊紙が通う学校でもありました。無性に気になった彼は、ひとまず学校に行ってみようと思い立ちます。
学校に着いた遊紙は、空を飛び、人語を解し、文字を食べる魚と遭遇します。さらには、その魚を追ってきた少女と、なぜか執事とも! 少女に追われていた魚は、少女たちが現れる前に、遊紙の口の中に飛び込んでしまうというおまけ付きで!(笑)
と、こんな感じで、遊紙の不思議な物語がスタートするわけです。
森人のモリちゃん。執事の羊さん。猫のブゥさん。司書の玉子さん。
なかなかに味のある魅力的なキャラクターも多く、派手なアクションこそありませんが、じっくりと読ませてくれる物語が心地よい作品です。特に司書の玉子さんの、“若かりし頃”は良いですよ!(笑)
文字を食べる魚や、本や人を守る森人といった背骨に、エピソードごとのおもしろいアイデアと、ページをめくる手が止まりません……いや、たまに伏線を確認に戻ったりすることはありますが(笑)。
本書を読んで、濃密な筆致で描かれた不思議な世界を探索されることをオススメします!
※ちなみに、本書のタイトルである「くおんの森」や作中に登場する「森人」ですが、実際には「森」の「木」が「本」に置き換えられた造語になっています。
【くおんの森(1)(リュウコミックス)】
著者:釣巻和
出版社:徳間書店
発売日:発売中(2008年11月20日)
(KIO)
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