- コラム
- 2009.05/14.09:00



やる時はやる主人公にはやる気にさせるヒロインが不可欠――カンピオーネ! III はじまりの物語
スーパーダッシュ文庫の「カンピオーネ!」。
神を殺した者は、その神が持つ特殊な能力『権能』を得られる。権能を得た者は『カンピオーネ』と呼ばれ、人間や並みの魔術師では抗うことすらできない。
主人公の草薙護堂は、15歳のとき、世界で7番目のカンピオーネになってしまったごく普通の高校生。普通の高校生として平穏な日々を送りたい護堂だが、魔術師にして護堂の愛人を自称するエリカ・ブランデッリの策略により、結果として神々や同じカンピオーネとの戦いに巻きこまれていく……というのが基本的な流れ。
1巻冒頭の時点で、護堂が既にカンピオーネとして権能を得ているだけでなく、カンピオーネ同士などの戦いをいくつかこなしていて、なおかつエリカから積極的なアプローチを受け続けている状態。
「これ1作目だよな?」
と二度見のようにタイトルを確認してしまったのは、自分だけではないはずだ。そんな読者との温度差を感じさせる始まりながら、強力な霊感と霊視の力を持つ媛巫女の万里谷祐理の登場や、エリカや祐理の協力を受けて人々に災いをもたらす神とのタイマン勝負に臨む護堂の姿など、読み進めるに連れて温度差はなくなり、物語のクライマックスとともに一気に上昇し引き込まれていく。
時系列を入れ替えてこのエピソードを最初に持ってきたことで、「つかみはOK」とばかりに本作品を印象づけさせたことは間違いない。アニメなら多々見られる手法だが、これをラノベでやるのは、作者はもちろんのこと、編集側も度胸があるなぁと素直に感心してしまう。
本作では、護堂がカンピオーネになった際の話がようやく明かされる。とはいえ、主軸は、エリカの護堂に対する気持ちが、出会いからカンピオーネとなるまでにどう変わっていくか、だ。
他のヒロインが登場しないエピソードだけに、エリカの凛々しくも女性的な魅力にあふれた1冊となっている。護堂には今後もエリカに巻きこまれ続けていただきたい。
【カンピオーネ! III はじまりの物語(スーパーダッシュ文庫)】
著者:丈月 城
イラスト:シコルスキー
出版社:集英社
発売日:発売中(2009年3月25日)
(梶原製作所)






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