飛空士が飛ぶ新たな空とは――とある飛空士への恋歌

告知の流れの中で唐突に始まったこのコラム。編集部員が業務とは無関係に趣味で購入して気に入ったけれども、この「良かった」感を伝える相手が周囲にいないため、あえてここで伝えていこうという趣旨で作ってみました。
そんな趣旨だけに正式公開後も残っているかわかりませんが、そこはそれ、これはこれということでよろしくお願いします
今回取り上げるのは、ガガガ文庫の「とある飛空士への恋歌」。
前作の「とある飛空士への追憶」は、昨年発売されたライトノベルの中で、シリーズ作や受賞作を除けば(個人的には含んでもかまわないと思う)、一番の話題作と言ってもいい作品だ。
次期皇妃のファナを飛空士のシャルルが単機で本国まで送り届けるまでを、二人の感情の移り変わりや、敵戦闘機との息詰まる空戦シーンを、丁寧な描写で1冊にまとめている。1冊できれいに話がまとまっていただけに、新作の発売が発表されてからは、どんな話を展開させていくのか期待と、不安が入り交じった複雑な気持ちで発売を待っていた。
そしていよいよ発売。本を手に取ると、帯に『「飛空士」シリーズ最新作』の文字が……。「飛空士」シリーズ? シリーズ最新作? どういった展開になっているんだろうと少々不安な気持ちで読み始めてみた。
舞台は「とある飛空士への追憶」と同じ世界。主人公は革命によってすべてを失った元皇子のカルエル。そのカルエルが、飛空士になるため、空飛ぶ島イスラに乗って旅立つ。イスラには、飛空士をめざす義妹のアリエルの他に、カルエルが憎しみを持つ革命の旗印だった風呼びの少女ニナ・ヴィエントの姿もあった。そしてカルエルはイスラで1人の少女クレアと出会い、いままでにない感情をクレアに持つのだが、そのクレアは……というのが今回のお話。
そう、この本は「とある飛空士への恋歌」シリーズの1作目で、まだ物語は始まったばかりなのだ。前作のように1冊で話がまとまっていると思っていたので、勝手に残念な気持ちを持ってしまった。
ただ、1冊で終わらなかったぶん、前作以上に丁寧な描写で、カルエルのすべてを失う場面からイスラに乗り込むまでが描かれている。この描写が今後の展開に生きていくことは間違いないと思いつつ、早めの続刊を待ち望みたい。そして続刊では、今回ほとんどなかった空戦シーンが出てくることを期待している。
【とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫) 】
著者:犬村小六
イラスト:森沢晴行
出版社:小学館
発売日:発売中(2009年2月19日 )
(梶原製作所)
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